一見するとネットワークビジネスに見えないけど、実はネットワークビジネスそのものだったということってあるんです。
ネットワークビジネスっていうとアムウェイやニュースキンといった企業が有名ですが、最近ではSNSを使った稼ぐ系のネットワークビジネスも見られます。
ネットワークビジネスだから違法というわけではありませんが、「転売、せどりで稼げます」という感じで誘っておいて、実態はネットワークビジネスだったなら、詐欺といっても差し支えないのではないでしょうか?
こういった稼ぐ系のネットワークビジネスは数十万のお金で塾やコミニュティに入らせておいて、有効なノウハウは学べないものもあります。
コミニュティの中で稼いでいるという人は、転売やせどりで稼いでいるのではなく、コミュニティを紹介したときの手数料で稼いでいるのです。
だから、例えば月収100万円と言っていても、それが何をやって得た収入なのかはよく考える必要があるでしょう。
転売のコミュニティで稼いでいる人が、実はそのコミュニティの紹介料で稼いでいたら、そのコミュニティに入っても転売で稼ぐことは不可能です。
この記事では、そういったネットワークビジネスの仕組みと手口を説明します。
「儲かりそうだ」という軽い気持ちでそのようなネットワークビジネスに手を染めないようにするための参考になれば嬉しいです。
ネットワークビジネスの仕組み
ネットワークビジネスというのは、それを始めた人物から成るピラミッド構造になっています。
創業者がつくった塾やコミュニティに勧誘していって、どんどんメンバーを増やしていくという仕組みです。
図にすれば以下のようになります。
Aがコミュニティをつくった人物で、その下にB1~B3がいます。さらに、B1~B3の下にC1~C6がいます。
ネットワークビジネスは一般的にこの図のような構造になっているので、この図を使って説明します。
ネットワークビジネスコミュニティができるまで
最初はAが自分でコミュニティに勧誘します。
その時のコミュニティというのは、転売やせどりなどで稼ぐ方法を教える塾のようなものです。
Aが多少なりとも稼ぐことができた方法を教えるためにコミュニティをつくって、そこにメンバーを勧誘します。
ただし、コミュニティのメンバーになるにはお金がかかる場合が殆どです。
それも、20~50万円といった非常に高額な料金になっています。
そのような高額なコミュニティをお金を稼ぎたい人に販売することで、Aはさらに実績を積み上げることができ、さらに自分のコミュニティに勧誘しやすくなります。
例えば、最初は「月30万稼ぐ方法」という感じだったのが、コミュニティ参加者が増えてAの収入が増えると「年収2000万の起業家」といった感じになります。
月30万よりも年収2000万の方がインパクトがあるので、収入を増やすことでより勧誘がやりやすくなるわけです。
Aのコミュニティに入ったメンバーは、Aのようにコミュニティ販売をします。
Aはコミュニティの販売をしたメンバーに報酬を払います。
例えば、50万のコミュニティを販売したメンバーには20万を払うという感じです。
コミュニティメンバーはコミュニティ参加者を増やせば増やすほど収入も増えるので、コミュニティの中で教えている転売のノウハウを実践することよりも、コミュニティ販売に力を入れます。
以上の話をまとめると次のようになります。
- Aが転売屋せどりで多少稼ぐことに成功する
- 転売やせどりで稼いだ実績をもとにコミュニティ(塾・セミナー)の販売をする
- コミュニティ販売によりAの収入が増えて勧誘がやりやすくなる
- Aの実績に目がくらんだコミュニティ入会者がコミュニティ販売することでAの収入がさらに増える
ネットワークビジネスにおける子ネズミの役割
コミュニティオーナーのAがネットワークを広げるためには、子ネズミたちをつくらなければなりません。
上記の図でいえばB1~B3(以下Bとする)の階層にいるメンバーです。
BはAのコミュニティに参加してくれたお客さんというだけではなく、Aのネットワークを維持・拡大するための重要な役割を持っています。
Bの役割には次のようなものがあります。
- 新しいメンバーの獲得(C1~C6の階層以下のメンバー)
- コミュニティ内の塾・セミナーの講師
特に大事な役割はコミュニティの維持と拡大です。
Aの収入を増やしていくためには、コミュニティメンバーを増やしていく必要がありますが、勧誘活動を自分だけで行うのは効率が良くありません。
そこで、B以下の階層のメンバーにコミュニティの維持や拡大の活動をしてもらう必要があるのです。
特にBのメンバーは、コミュニティの初期のメンバーで勧誘の成績も優秀な場合が多いです。
なので、新しいメンバー獲得の起点としてBを利用することが多いのです。
また、Bにはセミナー講師などをしてもらって、他のコミュニティメンバーよりも優遇する必要があります。
そうすることで、Bが自分のコミュニティをつくってしまわないようにしているのです。
Bからすれば、Aの下でセミナー講師などをしていれば、安定した収入が入るしAの集客力も利用できます。
つまり、AとBはお互いに必要な存在であり、互いに利用しあっていると言えます。
Cの階層以下はカモ
ネットワークビジネスにおいて、Cの階層以下のメンバーはAとBに利益をもたらすだけの存在です。
少なくてもAやBからはそう見られています。
C以下のメンバーはAから何かしてもらうことはできずに、ひたすらコミュニティへ勧誘するように指示されます。
もちろん、建前は「自由になるため」とか「不労所得を得るため」といったキレイ事なのですが、実際はコミュニティの勧誘をして得られる報酬を目指してAがやったようにブログやSNSで成功者アピールをすることになるのです。
しかし、実際にC以下のメンバーがやっているのは単にAとBの収入を増やすということです。
C以下のメンバーはネットワークビジネスの全体像を知らないので、自分が頑張ればAのような成功者になれると考えているのかもしれませんが、ネットワークの構造から考えて、C以下のメンバーが利益をえることはありません。
ネットワークビジネスの勧誘の手口
ネットワークビジネスの仕組みは説明しました。
次にネットワークビジネスの勧誘の手口について説明していきます。
まず、稼ぐ系のネットワークビジネスの勧誘はSNSを使って行われます。
LINEやFacebookにリア充投稿をして、見ている人の射幸心を煽ります。
- 美味しい料理を写真に撮ってSNSにアップ
- コミュニティの仲間と飲みに行った写真をSNSにアップ
- オフィスで楽しそうに雑談している写真をSNSにアップ
- 海外旅行に行っている写真をSNSにアップ
- ノートPCの上に札束が置いてある写真をSNSにアップ
挙げればキリはないんですが、よくあるリア充アピール投稿はこんな感じになると思います。
リア充アピールというよりも金持ちアピールかもしれません。
とにかく、自分は金持ちで仲間がいて人生を楽しんでいますということをアピールしてくるのです。
「俺のようになりたかったら、コミュニティに入ってノウハウを勉強した方がいいよ」ってことです。
そういう感じで、LINEやFacebookで友達登録をさせて、コミュニティへ勧誘をしてきます。
そして、そのコミュニティで教わるノウハウは、転売やせどりなど成果の出やすいネットビジネスで少しの成果を出して、その成果を使ってコミュニティ勧誘をするというものです。
そうやって、コミュニティの人数が増えればAとBの収入も増えていきます。
ネットワークビジネスはトップの一握りだけが儲かると言われる理由はこれです。
ネットワークビジネスとネズミ講の違い
ネットワークビジネスとネズミ講の違いってご存知でしょうか?
図で説明すると違いがよくわからなくなってしまうのですが、簡単に言えば『商品・サービスが存在するかどうか』です。
ネズミ講はお金が直接やりとりされますが、ネットワークビジネスは商品やサービスを介してピラミッド構造がつくられます。
どちらもピラミッド構造ができて先にやった人が儲かるという点は同じですが、商品やサービスがあるとネットワークビジネスになります。
ただし、ネズミ講の場合でも一見するとちゃんとした商品・サービスがある場合が殆どです。
単純にお金だけをやりとりするネズミ講の方が珍しいくらいで、実際にはネットワークビジネスなのかネズミ講なのか判断が難しいのです。
なので、ネットワークビジネスで商品やサービスがあっても、ネズミ講とみなされる可能性もあるかもしれません。
ネットワークビジネスは違法なのか?
ねずみ講は違法なビジネスですが、ネットワークビジネスはどうなんでしょうか。
これについてはネットワークビジネスの内容によります。
ちゃんとした商品を口コミで広めることで報酬を得ることができるビジネスモデルであれば、合法なネットワークビジネスといえると思います。
ですが、稼ぐ系のネットワークビジネスはコミュニティに参加する権利を売ることでネットワークを広げています。
もちろん、コミュニティというサービスをやりとしているので違法だとは言えませんが、見方によってはグレーだと感じる人もいるかもしれません。
ちなみに、2016年の1月にマルチ商法で大学生から1億7000万円を騙し取ったとして、大阪で経営者が逮捕されています。
「ネットビジネスで儲かる」といった感じで代理店契約を結ばせてお金を集めていたようです。
※代理店契約料という形でお金を稼いでいたのだと思います。
代理店というサービスがあっても、その実態がいい加減なら逮捕されてしまうという例です。
だからといって、稼ぐ系のネットワークビジネスが違法とはいえませんが、そのコミュニティが提供するサービスに再現性がなかったり、コミュニティに勧誘することで利益を上げるビジネスモデルの場合は、サービスに実態がないと判断されるかもしれません。
ネットワークビジネスに騙されないために
稼ぐ系のネットワークビジネスでは狙われやすい人の傾向があります。
次の特徴に当てはまる人は注意しましょう。
特に4番目の特徴に当てはまる人は要注意です。
- 依存心が強い
- リア充に憧れている
- 楽にお金を稼ぎたいと思っている
- 世間知らず
では、順番に見ていきましょう。
依存心が強い
誰かに依存する気持ちが強い人はネットワークビジネスにハマりやすいです。
どこかに凄い人がいて、その人に教えてもらえれば自分も凄い人になれるという他力本願な人ですね。
自称年収1億プレーヤーから「俺のノウハウで大丈夫です」って言われちゃったら依存心が強い人は頼ってしまうかもしれませんよね。
ですが、ビジネスは誰かに頼ったら終わりです。
失敗しても誰も助けてくれないし、騙されても自己責任です。
依存する気持ちが強い人は甘い言葉に気をつけましょう。
リア充に憧れている
リア充に憧れている人もネットワークビジネスに騙されやすいと言えます。
人生を楽しんでいるSNS投稿を見て憧れを抱いてしまう人は要注意です。
稼ぐ系ネットワークビジネスをやっている人は、殆ど決まってリア充投稿をしています。
「このコミュニティに入れば、楽しいリア充人生が待っているぞ」って誘っているわけです。
そうやってネットワークビジネスの教祖様は射幸心を煽っているんです。
リア充とビジネスの成否は関係ないので気をつけましょう。
楽にお金を稼ぎたいと思っている
「楽に」とか「簡単に」というのは情報ビジネス業界の常套句です。
楽にお金を稼ぎたいというのは、誰でも考えていることなので、その気持を狙われます。
SNS投稿された札束の写真をみせられて、「俺についてくれば、3ヶ月で月収100万だぜ」とか言われてキュンとしちゃう人は気をつけましょう。
世間知らず
社会経験がない学生や新卒で経験が浅い社会人も注意が必要です。
社会経験がない人はピュアな人が多いので、世の中に悪い人がいるんだということに気がついていなかったりします。
ですが、実際の世の中は奪い合いです。
みんなお金の奪い合いに勝つために、いろんなやり方を考えています。
世間知らずな人は、お金だけ奪われてしまうでしょう。
会社に不満があっても変なネットワークビジネスには手を出さないようにしましょう。
まとめ
長文になってしまいましたが、最後にまとめます。
- ネットワークビジネスはピラミッド構造になっている
- ピラミッド上位の一握りの人だけが稼げる
- ネットワークビジネスは商品・サービスはあれば違法とは言い切れない
- 社会経験が浅い人は注意
稼ぐ系ネットワークビジネスの全てがダメというわけではありませんが、若い人は何も知らずに手を出してしまうこともあるようです。
知らなかったではすまない場合もあるので、怪しいと思ったら一旦立ち止まってみてください。