2014年に出版されたX JAPANのToshlさんが書いた『洗脳 地獄の12年からの生還』という本があります。
X JAPANのファンの人も多いし、ファンじゃなくても、トップアーティストだったToshiさんが洗脳されてX JAPANを脱退したことは知っている人も多いでしょう。
ネットやメディアでは断片的なことしかわからないので、Toshiさん本人が書いた『洗脳』を買って読んでみました。
本のサブタイトルに「地獄の12年からの生還」とあるように、まさに生還と呼ぶにふさわしい悲劇が詳細に書かれています。
この本を読んだ感想となぜToshiさんが洗脳されてしまったのかなどを書ける範囲で紹介したいと思います。
X JAPANとToshiさんの経歴
Toshiさんは1965年に千葉県館山市に生まれました。三人兄弟の末っ子でした。
X JAPANリーダーのYOSHIKIさんとは幼馴染で、小学校の頃から一緒にバンドをやっていたそうです。
X JAPANの前身となるXというバンドを高校生の時に結成して、高校卒業後は上京して、メジャーデビューを目指して活動をしました。
1989年にCBS・ソニーからメジャーデビューをします。そして、1992年にバンド名をX JAPANに改名して、本格的に海外進出を目指します。
1997年にはヴォーカルのToshiさんが脱退して、1997年に9月22日にYOSHIKIさんが会見を行いX JAPANの解散が公表されました。
Toshiさんの洗脳生活が本格化するのは、X JAPANが解散していた1997~2007年の約10年です。ただし、セミナーの勧誘は1996年から始まっていて、X JAPANが再結成された後もすぐに洗脳が解けたわけではありません。
X JAPANは2007年の10月22日に再結成されて、この再結成をきっかけにしてToshiさんは洗脳から目覚めていくことになります。
Toshiさん洗脳のキッカケ
ToshiさんはX JAPANのヴォーカルとして活動していましたが、ロックスターとなり、人気とお金を得るようになってくると、周囲の人間の言動が変わってきてしまったことに深いショックを受けます。
本の内容をあまり詳しくは書けませんが、簡単にまとめると以下のようなことに悩んでいたようです。
- 家族がお金のトラブルを起こすようになった
- そのせいで他のメンバーにも迷惑がかかった
- 人間関係にもいろいろと悩んでいた
- 自分の歌が海外で通用するのか悩んでした
こういったことがあって人間不信になっていたToshiさんは、ロックオペラ『ハムレット』を通じて守谷香という女性と出会います。
この守谷がToshiさんをセミナーへ誘いX JAPANを辞めるように説得したのが一連の洗脳騒動のキッカケでした。
Toshiさんが受けた洗脳の実態
守谷の説得もあってX JAPANを抜けたToshiさんは、セミナーにのめり込んでいきます。
最初は違和感があったようですが、セミナーを繰り返し受講すると、自分が卑しい人間に思えてきて、主催者のMASAYAの言葉に説得力を感じるようになりました。
セミナーでは、罵倒や暴力もあったようで、Toshiさんの脳裏にはそれが焼き付いてしまって、洗脳から中々抜け出せない原因になっていたようです。
X JAPANからの脱退も含めて、こういった一連のやり方は洗脳やカルト宗教では常套手段です。
- 家族や社会との関係を断たせて孤立させる
- 様々な手段(暴力・罵倒etc)で言いなりにさせる
- 財産を没収して生活基盤を奪う(カルト組織に依存させる)
- 徹底的に搾り取る
Toshiさんはこのような洗脳テクニックによって、10億以上のお金を奪われ、さらにはドサ回りの営業をさせられたのです。もちろん、営業で得た売上は全てMASAYAに渡っていて、Toshiさんには生活できる最低限のお金しか残らなかったようです。
洗脳が解けるキッカケ
2006年にX JAPANの再結成の話が舞い込んできます。Toshiさんは最初は断ったようですが、YOSHIKIさんの意向だと言われてその気になります。
セミナー主催者のMASAYAは当初はX JAPANのことを相当悪く言っていたようですが、再結成にあたって億単位の金が支払われるという話を聞くと、ToshiさんにX JAPANを再結成するように言ったようです。
Toshiさんとしては、このMASAYAの態度の変化が洗脳が解けるキッカケだったようです。
2007年にX JAPANは再結成しますが、X JAPAN再結成時に支払われたお金はToshiさんには渡らずにMASAYAに流れます。
X JAPAN再結成と洗脳からの生還
X JAPANが再結成されてライブやレコーディングをしていても、Toshiさんには守谷が監視役としてついていました。
Toshiさんに入るはずのお金も持っていかれた上に、ドサ回りの営業は続いており、心身ともに疲弊していってしまいます。
ToshiさんはX JAPANの活動を通して外の世界に触れたことで、MAYASAからの脱出を試みますが、最初の脱出は失敗してしまい、捕まって上に軟禁されて相当酷い暴力と罵声を受けたようです。
その後、MASAYAから生還するキッカケになるできごとが起きます。それは、Toshiさんが疲労で倒れて病院に入院したことです。この時、Toshiさんを心配してくれたとある会社の社長が、Toshiさんをかくまってくれたことで、MASAYAから逃げることに成功します。
その後、Toshiさんはいろいろな人の助けもあって、MASAYAと決別することに成功します。
X JAPAN再結成からToshiさんがMASAYAから生還するまでのドタバタはウシジマくんにでてきそうな話で、読んでいて興奮します。
次の動画はMASAYAと決別して、この本を出版した時のToshiさんです。
Toshiさんという人間について
X JAPANのヴォーカルとしてのToshiさんは音楽番組などを通してたくさん見てきました。けれでも、それはアーティストとしてのToshiさんであって、一人の人間としてのToshiさんはあまり知られていません。
この本を読めば、Toshiさんの人柄・性格がよくわかると思います。
正直な話、この本を読んで次のような印象を持ってしまいました。
- X JAPANを辞めなければ良かったのに・・・
- X JAPANの他のメンバーから見れば、Toshiさん側の問題に巻き込まれたように見えるのではないか?
- でも、本当は純粋でとても良い人なんだろうな~
Toshiさんが人間不信になってしまったのは、Toshiさんの周りの人間が起こした様々な不祥事が原因です。
もちろん、Toshiさん本人には非はないと思いますが、X JAPANの他のメンバーからすれば、Toshiさん側の問題に巻き込まれてしまったという印象を持つのではないでしょうか?
Toshiさんは悪くないんですが、洗脳されてX JAPANを脱退して、結果解散することになってしまったわけです。
心が弱っていたとはいえ、セミナーに参加して洗脳されてしまうというのは、基本的に人を疑ったりしない純粋で良い人なのかなと思います。
YOSHIKIさんは経営者でプロデューサーだから、良くも悪くもクールな感じがするけど、Toshiさんは周りの人を信じすぎてしまったんですね。
これも、Toshiさんが良い人過ぎたためかなと思います。
セミナーの闇はどこにでもある
Toshiさんの場合、一般的な社会経験が少ない状態で大金を手に入れたのはいいけど、周りの人間を上手く処理できないで、いろいろ大変な思いをするという失敗をしています。
これって学生や新卒の社会人がセミナーや情報商材に大金を注ぎ込んでしまうのと似ている気がしますね。将来の不安や悩みにつけこんで、セミナーを受けさせてお金と時間を奪っていくというよく聞く話です。
Toshiさんの場合は、持っているお金が大きすぎたから、奪われる金額も大きかった。よくあるセミナー商法とかサロン商法のスケールをものすごく大きくした話なのではないかと考えてしまいます。
現在のToshiさんの活躍
最近のToshiさんはバラエティ番組にも積極的に出演されていて、とても活躍されています。テレビの中でもトークは面白いし、やっぱり良い人なんだなと思います。
さらに、YouTuberにもチャレンジしたりと、本当に楽しそうです。
なんかこんなキャラクターな人だとは今まで知らなかったゾ。やっぱり思ってたとおり面白くて良い人なんだな。
「洗脳 地獄の12年からの生還」のまとめ
というわけで、以上をまとめていきます。
- X JAPANで成功したけど、身内やお金のトラブルで悩んでいた
- そんな時に守谷香と出会ってセミナーにハマってしまった
- X JAPANを抜けた後は本格的にMASAYAに洗脳された
- X JAPANの再結成がキッカケで洗脳から解け始めた
- いろいろな人の助けもあってMASAYAと完全に決別できた。
本には守谷とMASAYA以外にもたくさんの人物が登場して、当時の状況がリアルに書かれています。
詳しい話を知りたい人は本を読んでみてください。